開堂27周年記念・永眠者記念礼拝
祈り

20101114日(日)

紫垣 喜紀

天におられますイエス・キリストの父なる神様

あいにくの肌寒い曇り空ですが、敬愛する兄弟姉妹とともに聖日礼拝を守り、祈りを合わせることができますことを感謝いたします。

きょうは、27年目の開堂記念礼拝と永眠者記念礼拝をかねた、ロゴス教会にとって、とりわけ大切な礼拝の日でございます。

 現代の日本は、国家も民族も国民一人一人も、目標を見失ってしまったような感があります。世界有数の経済大国になりながらも、人々の心が満たされない。むしろ、不安感をつのらせ、自信を失っています。

科学万能主義、実証主義に疑問を感じながらも、この閉塞状態から脱出するすべが見つからない。そして、一番厄介なのが心の荒廃であります。

やさしさ、思いやり、隣人への愛が、驚くほど社会から蒸発したことです。

 先日、青森県の奥入瀬渓谷を訪ねました。紅葉で有名な景勝の地です。強い風雨に見舞われ、「雨にも負けず、風にも負けず」の紅葉狩りになりました。

この後、十和田湖の湖畔で昼食をとって一息入れ、観光バスに乗り込みひたすらJR仙台駅に向かいました。約5時間のバスの旅です。しかし、退屈はしませんでした。バスガイドさんは19歳という若さでしたが、話術が実に巧みで人をそらせない。車内には笑いが絶えませんでした。バスが岩手県の花巻市にさしかかったとき、彼女は宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を朗読してくれました。宮澤賢治は花巻の出身です。「雨ニモマケズ」を聴きながら、この詩はなんと私たちの信仰と相通ずるものがあるのだろうと、感嘆して聞き入りました。そこで、私も「雨ニモマケズ」をほぼ全文読んでみたいと思います。

雨にも負けず

風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ

慾はなく

決して怒らず

いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と

味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを

自分を勘定に入れずに

よく見聞きし分かり

そして忘れず

東に病気の子どもあれば

行って看病してやり

西に疲れた母あれば

行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば

行ってこわがらなくてもいいといい

北に喧嘩や訴訟があれば

つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し

寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ

褒められもせず

苦にもされず

そういう者にわたしはなりたい

これは隣人への献身的な奉仕の精神だと思います。宮澤賢治は37歳の若さで亡くなっております。

きょうはロゴス教会の八王子開堂記念礼拝と永眠者記念礼拝を兼ねています。

ロゴス教会の先達をはじめ、私たちに多くの遺産を残してくれた方々を覚え、感謝の気持ちを捧げたいと思います。そして、天に召された人々と祈りを合わせ、この国が、この民族が、この教会が再び元気を取り戻せますように、お祈りいたします。

これから、山本牧師が「十字架を担って従うもの」という題で証言されます。

先生を強め、聴く私たちの心を開かせ、御言葉の説き証がしみ渡りますようにお導き下さい。

この祈りと感謝。主イエス・キリストの御名によって、御前に捧げます。

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