本阿你阿い子師

(「LOGOSNo.30」1992.3)

福富保子

木枯らしの吹きすさぶがに鳴る
喉をもて々と語る神の恩寵

咽頭の癌と知りつつもにこやかに
ひたすら神をあがめ給ひき

体調の良き日は老人ホームへと
伝道一筋の明け暮れなりし

枯れ枯れし(のみど)中に時折に
かん高き笛の音混じれば哀し

二十日前手を取り合ひて別れしに
早も来にけり訃音の知らせ

温かき子等に囲まれ安らかに
眠れるごとく召され逝きしと

カナダにて学びし神学一筋に
米寿を土産に夫君のみもとへ

しわがれの(のみど)も癒えなむ天国で
愛唱歌四六一番歌ひ給へよ

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