讃美歌

(「LOGOS No.23」1991.6 )

北村 美和

 昭和18年春、初めて讃美歌を手にした時、500以上もあるのにびっくりしましたが、半年もたたないうちに好きな讃美歌をいくつもおぼえました。 「いつくしみ深き主の手にひかれて(現:みめぐみゆたけき)」「うるわしの白百合」「緑も深き」「さまよう人々」「心の雄琴に」・・・

 今、讃美歌を歌う度に、聞く度に、それらをうたった当時の様子が目の前にうかんできます。忘れがたい出逢い、悲しい別れ、目白ロゴスの数々の思い出、三鷹に住んでいた頃(昭和30年頃は、まだ肉眼で天の川が見えました)星空のもと近所の方々とつれだって出席した家庭集会、クリスマスの夜、垣根のむこうでキリスト教大学の学生さんたちが、「きよしこのよる」をうたってくださり、窓をいっぱいに開けて静かに聞き入ったこと、(当時は道は舗装されておらず、街灯もありませんでしたので、靴は泥んこになり、歌い歩くのはたいへんだったと思います)。

 私が22歳の時に逝った父の葬式は仏式でしたが、友人たちが庭で静かに讃美歌をうたってくださったこと、戦時中の或る日、「主我を愛す」と「春のあさけ夏のまひる」をひいていると、父が応接間にとびこんできて(明治40年頃を思い出しながら)オルガンにあわせていっしょにうたったこと等など。

 最近、讃美歌2を買いましたが、この中にもすでに、いくつかの思い出が織り込まれています。これからも八王子ロゴスで皆様とうたいつづけていきたいと思います。

 戦中より うたいつづけし讃美歌の
 ひとつひとつに かさなる思い出

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