「夢の実現に向かって」
ローマ人への手紙828
コリントの信徒への手紙U92
08.6.29

眞野みつ子
 最近クラスター爆弾の記事がよく目につきます。
 この兵器は空中で親爆弾が散布する多数の子爆弾が広い範囲で爆発するので、広大な土地が被害に遭う地雷以上に
恐ろしい兵器です。不発弾が発生しやすいので、地雷を空からばらまくような効果を発揮するわけです。アフガニス
タン、ユーゴ、イラク攻撃に多用され、多くの市民が犠牲になっています。
 20072月にノルウエー政府主導でクラスター爆弾全面禁止を目指すオスロ・プロセスが始まりました。ちなみに
10年前に地雷廃絶運動を主導したのはカナダ政府でしたので、オタワ・プロセスと呼ばれます。
 日本政府はクラスター爆弾について「人道面と安全保障面のバランスを考慮することが必要」として禁止対象の例
外を求めてきました。10年前にさんざんやりあって対人地雷全面禁止に至ったのに政府は同じことを繰り返していま
した。防衛省や軍需産業からの圧力があるのでしょう。
 しかし例外があっては意味がないのです。この519日から30日までオスロ・プロセスの最終交渉の会議がアイル
ランドのダブリンで開かれました。この会議中に幸いにも福田首相の政治的判断で日本政府が条約に同意するという
ニュースが入り、日本を含む111カ国によってクラスター爆弾を禁止する条約が採択されました。
この会議に出席していた JCBL運営委員の目加田さんと清水さんは衝撃を受けるほどうれしいニュースだったと話し
ていました。先週の火曜日624日にこのダブリン会議の緊急報告会がJCBLによって開かれましたので私たち夫婦で
出席しました。目加田さんは現在中央大学の総合政策学部教授です。そして清水さんは日本ボランティアセンター
(JVC)の事務局長です。 
ダブリン会議での運営方式や各国の利害や取引、日本の政策方針が変更した理由、NGOの取り組みなどが二人によっ
て報告されました。報告会は80人〜100人ほどの出席者で、若い人が多かったのが印象的で、日本の将来に希望がもて
ました。
 政府に条約採択させた要因は、背景にイギリス、フランス、ドイツが賛成したということと、第21条「非締約国との
関係」が設置されたことらしい。21条とは「非締約国に条約の締結を奨励する一方、軍事協力を容認する」と言う曖
昧なものです。非締約国とは日本にとって主にアメリカを意味します。
 報告会の会場からはJCBLの運営委員会のロビー活動や政府への強い働きかけなどの成果という声が挙がった。目加
田さんはメディアの働きを評価。
 今後の流れは調印式が20081223日オスロにおいておこなわれます。条約の発効は批准国が30カ国になり、6
ヶ月後になります。
JCBLとしては、これから日本が12月に確かに署名し、速やかに批准するように注目し、プッシュし続けるわけです。
また条約についても外務省訳は信用しきれないので、これから順次JCBLで翻訳して注目していく、
ということで頼もしく感じました。皆様は既によくご存じと思いますが、JCBLについて少し説明したいと思います。
Japan ampaign to Ban Landmines 地雷廃絶日本キャンペーンといいます。
 1979年ベトナムがカンボジアに侵攻、タイ側に逃げたカンボジア難民の中に地雷被害者が異常に多いことが注目さ
れ、救援に当たっていた世界のNGOのメンバーから地雷は人道上大きな問題であると、世界中に発信されました。
 地雷問題は兵器としての地雷だけでなく貧困、紛争、不安、恐怖、自然破壊などさまざまな課題を含んでいます。
家族や友人、社会の破壊、未来を奪うまさに悪魔の兵器です。そのような困難に遭っている人々を助けたいという無
償の愛は、神を愛する気持ちと変わりません。
難民を助けたいとカンボジアに向かった人々はまさに神様の御計画に従って召されたのだと思います。この人々が
後に世界や日本で地雷禁止活動のために共に働いて重要な役割を果たすことになりました。
「神を愛するものたち、つまり、御計画に従って召されたものたちは、万事が益となるように共に働くということを
わたしたちは知っています。」(ローマの信徒への手紙8-28)  
私が初めて地雷廃絶運動に関わったのは、1997年長男から地雷廃絶署名用紙を渡されたときからです。息子は用紙
をよこしても詳しいことは何も言わないので、彼がどのような形で関わっていたかはよく理解していませんでした。
でもYMCAの国際奉仕部門にいるので、何か手伝っているのだろうとは思いましたが。
その年八王子ワイズメンズクラブでは、地域奉仕のためにチャリティコンサートを企画しました。主に老人ホーム
の方々をご招待して、美しい歌声を楽しんで頂きました。
2回目のチャリティコンサートを企画するとき、会員の中から「何かのための」チャリティコンサートとしたらとい
う提案がありました。YMCA の真野さんの息子さんが地雷廃絶運動をしているから、それに協賛したらという声が挙が
り、「地雷廃絶のためのチャリティコンサート」に決定。今年の3月には11回目を終えました。
私個人としてJCBLでボランティアを始めたのは、チャリティコンサートのために、写真のパネルや地雷の模型を借り
るため、上野のJCBLの事務所を訪れたのがきっかけです。事務所はJVCの一部に机を置き、1名のアルバイトスタッフと
その時々にボランティアに頼っていました。23年前からやっと1名の常勤スタッフ兼事務局長を置くことが出来るよ
うになりました。私はJCBLニュースを発送するときなどに、タイミングが合う時には手伝いに行っています。
 20057月名古屋で開かれた愛・地球博「みんなでなくそう対人地雷」館に参加。ロゴス教会の原兄に特別にお
願いして作って頂いた地雷犬の看板はみんなの目を引き、来場者アップに貢献。JCBLの展示コンセプトは「地雷廃絶に
参加した市民運動のサクセスストーリー」ということでした。展示内容はオタワ条約成立までの流れを解説したパネル
と条約に参加していない国にメッセージを送るちょうちょキャンペーンが主でした。
ちょうちょキャンペーンについては、ロゴスの皆様にもたくさん協力して頂きました。色画用紙をチョウチョ型に切っ
てまだ条約に参加していない国に宛ててメッセージを書いてもらう。博覧会後はちょうちょを国別に分けてレイに仕立
てて、大使館に届けるというもの。私も2つの大使館にレイを持って運営委員と一緒に行ってきました。イラン大使館で
は、一等書記官に面会し、大勢の人の願いが書かれたレイを渡し、オタワ条約に入るようにお願いしました。
彼は非常ににこやかに”USAが加入すればねと、そして自国の事情を長々と説明しながらもちょうちょキャンペーン
を評価してくれました。これは結構大変な作業でしたが誰にでも親しみやすくて、楽しい活動でした。
昨年の6JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)は日赤本社で10周年の記念式典を開きました。100人近くの出席者の中
に昨年ロゴス教会でシャンソンを熱唱してくださった荻野克典さんがいらっしゃいました。彼は地雷廃絶のために自分
の特技を生かして今年の3月に名古屋で初めてのチャリティコンサートを開く計画を持っていました
JCBLの事務局からチャリティコンサートを続けている八王子ワイズメンズクラブの真野が出席すると聞いて、そのノ
ウハウを知りたくて、出席していたようです。
八王子クラブでは次年度の計画をたてる時期で、出演者を捜すのが一番の大仕事でしたから、これは渡りに船?かし
らと頭の中は忙しく回転。顔色を見つつ、交渉開始。
名古屋の方でしたので、実際には実行委員はいろいろと大変でしたが、内容はとてもすばらしく、チャリティコンサ
ートは大成功でした。
7月から八王子ワイズメンズクラブは新年度に入ります。来年のチャリティコンサートに向けて出演者を考えなくては
と気をもみ始めています。
地雷やクラスター爆弾の全面禁止条約が発効し、日本が参加したからもうこの運動は終わりというわけにはいきません。
最大量の地雷とクラスター爆弾の保持国であるアメリカやロシア、中国など、条約に参加していない国に参加をするよ
うに働きかけ、世界からその脅威が無くならなくてはいけません。
市民が国際政治を動かすNGO JCBLの働きは武器のない、戦争をしない平和を実現しようと努力し続けていることにあ
ると思います。
行うことがいくら正しくても熱意がなくては伝わらないのですが、神様の御心にかなった目的のために一致団結して良
き働きをしようという彼らの熱心さが、本当に多くの人々を奮起させました。
「あなた方の熱意は多くの人々を奮い立たせたのです。」(コリント人への第2の手紙9-2
この御言葉はまさにJCBL10年の歩みを振り返った時に実感できました。また教会活動にも通じることだと思いました。
私たち一人一人の力はとても小さいのですが、武器や戦争のない平和な世界の実現に向けて歩むことが出来ますように、
神様のお導きとお支えを願っております
TOPへ