サンタクロースのお手伝い

(LOGOS「No.28」1991.12 )

西岡澄子

 ちょっと告白いたしますが、実は、私達夫婦は、クリスマスになると、サンタクロースのお手伝いをしているのです。

 何しろ、一晩のうちに、世界中の子供達に、プレゼントを届けなければならないのですから、サンタさん一人ではとても大変。それでせめて我が子の分だけでもと、こうしたお手伝いをしている訳なのです。ウチだけでなく、たぶん世界中のお父さんお母さんは、皆そうやって、こっそり、サンタさんのお手伝いをしているのでしょうね。(ヒミツ、ヒミツ・・・・・・)。

 我家の三人の子供達には、毎年イヴの晩に、それぞれの枕元に、サンタクロースからのプレゼントが届くので、クリスマス前の一週間位は、皆とても良い子で、天使様のようです。

 5年生の長女、(こころ)は「サンタクロースなんているはずないじゃない」なんていう友達の言葉には、耳も貸さず、イヴの夜には、枕元にプレゼント入れ用の大きな袋と一緒に「サンタさん、きてくれてありがとう!日本(・・) 八王子市寺田町 西岡 心」と、お礼状を置いたりして、何とかサンタさんとお友達になりたいと思っています。

 3年生の良輔は、夏休みが終るともう、クリスマス(プレゼント)の事が気になり出して、「今年のプレゼントは○○だといいなあ」なんて、プレゼントの事で頭が一杯で、「ゆうたろうのは○○だといいね」などと弟のプレゼントの心配までしてしまいます。

 1年生のやんちゃ坊主勇太郎は、見かけによらず哲学的な思考の持ち主で、つい先日、こんなすばらしい事を教えてくれました。「サンタクロースは、お空から来るんでしょう?お空には神様がいるんだから、サンタクロースはきっと、神様に頼まれて、子供達にプレゼントを届けているんだよ!」そうか!サンタクロースは神様のお手伝い。そして世界中のお父さん、お母さんは、サンタクロースのお手伝い。

 クリスマスの晩ににリレーされる、神様の愛、サンタクロースの愛、そして親の愛、本当に、子供達への最高のプレゼントですね。こんなすてきなお手伝い、いつまでも、ずーっと続けたいものだと願っている、親バカ夫婦なのです。

●クリスマス裏話 1

僕は子供の頃、クリスマスをサンタクロースの誕生日だと思っていたが、サンタは子供と旅人の守護
聖人クラウスに由来したもの。つでに言うなら、ツリーは古代ゲルマンの樹木の精霊信仰を、トナカイ
北欧神話にある光の予告者を継承したもの。このどれもがイエス様が生まれたパレスチナ地方のもの
ではないけれど、そんなことどうだっていい、聖夜はやっぱりジングルベルのクリスマスが楽しいのだ。

●クリスマス裏話 2

仏陀の誕生譚に『日月星神停住して行かず〜もろもろの天子女虚空中において妙音を作す」や「如
来下生せんとする時東方に無量百千も菩薩あり来たりて如来を供養す」といったものがあるが、イエ
ス様誕生の伝承にどうしてここまで似ているのか。前漢7代の武帝の命による探検隊の調査によると
紀元前130年頃の中央アジア・クシャーナ帝国の貨幣にはギリシア・ゾロアスター・ヒンズーの神々と仏
陀の像が刻まれていたという。地中海世界を含むアジアの交流は予想外に広く頻繁だったのだ。シルク
ロードを通って救世主誕生のモチーフが行ったり来たりなんて、いやあ歴史のロマンがありますね。

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