寺井春さん 天に召される。



2008年4月23日(水)午前1時。

礼拝では最前列で静かに牧師のメッセージに聞き入る寺井春さん。春さんは4月23日(水)94歳の生涯を入院先で家族に看取られながら天に召されました。春さんは昨年夏、自宅で骨折、入院生活で懸命なリハビリを続けながら少しずつ元気を取り戻していました。

つい先日の礼拝では、中野姉からもうしばらくすれば再び元気な春さんの笑顔にお目にかかれますから、皆さんでお祈りしましょうとの報告を受けたたばかりでした。
 
 春さんは大正3年の新潟県村上市の生まれ、故稲葉修法務大臣とは幼馴染で「オサムちゃん」「ハルちゃん」と呼び合う仲でした。
24歳で結婚、満州に渡り3人のお子さんに恵まれましたが、通訳
をされていたご主人が捕虜となり、大変な苦労をされました。
戦後の21年に3人のお子たちと
帰国、その後、子供たちは8人となり大家族を切り盛りされてきました。

80歳過ぎには、習字の通信教育を始め
たり学習意欲は旺盛で、クリスチャンだったご主人亡き後にロゴス教会の礼拝へ出席するようになりました。

 また、近所のディケアーに週3回通っていましたが、頭も健康も優れていたため、指導の人からディケアーの必要はないので来なくてもよいと言われ大変、残念そうでした。教会での礼拝後の愛餐時には、兄弟姉妹、小さな子供たちに気軽に声をかけ、楽しそうに交わりを持たれていました。

そしてクリスマスには大きな箱一杯のみかんを教会へプレゼントしたり、ボランティアで缶ビールの口元のキャップを車椅子と交換する運動に共感、自宅からビニール袋いっぱいのキャップを持参したり、広告チラシで折った見事な鶴で子供たちを喜ばせたりと積極的に教会に参加されました。さらに夏の修養会、墓前礼拝、野外礼拝にまで参加される熱心さでした。 

 春さんの召天はまことに惜しまれます、主のもとで安らかにお眠りください。

 前夜祭は4月25日(金)、山本俊正主任牧師の司式、原寿枝姉の奏楽で家族、友人、教会のメンバーが集い、厳かな中ですすめられました。寺井さんの愛唱歌312番を一同で歌い、可愛らしいお孫さんたちのお別れの言葉に続き教会からは松本淑子姉が寺井姉との出会いや懐かしい思い出を話されました。

寺井春さん 告別式

4月26日(土)午前1030分〜1130

寺井春さんの告別式は、4月26日(土)午前1030分からロゴス教会で山本俊正主任牧師司式のもとすすめられました。

山本牧師は式辞の中で作家・亀井勝一郎の言葉を引き人生における四つの誕生について「1番目の誕生の時は赤ちゃんとしてこの世に生を受けた時、2番目は1518歳の自我に目覚める青春時代、3番目の誕生の時は自我を超えているものに気づいたり、死後をも支える永遠の問題に感銘を受け、道を求める時、4番目の誕生の時は人間が死を迎えた時で、この新しい誕生を迎えられる人は第3の誕生を迎えて歩んで来られた人に限られている。

寺井春さんは3番目の誕生の時を、80歳を過ぎてロゴス教会で学ばれ2001年6月3日に当時の山羽牧師から洗礼を受け、迎えられました。


教会へは積極的に礼拝に出席、読書
の人と呼ばれるほどで、教会の図書棚からたくさんの本を借りて熱心に読んでおられました。
「キリストの人生」「文学的神奉仕」「旧約聖書」・・・。

 米国では告別式をCelebration of Lifeと申しまして、それはその人の人生を祝うという意味です。幾多の山や谷を乗り越え94歳の人生を全うされた寺井春さんは、同じクリスチャンでいらしたご主人の導きもあり、4番目の誕生の時をむかえられたわけで、悲しみの時というよりもお祝いの時といえるのではないでしょうか」、と結ばれました。

式は前夜式と同じように春さんお気に入りの讃美歌312番を歌い、お孫さんたちの思い出と感謝の言葉、そして教会員で近くに住む中野ユリ姉から教会での春さんの優しい人柄、エピソードなどが披露されました。


また奏楽担当の原寿枝姉がかつて礼拝で演奏した曲を春さんから「良い曲ですね」と気に入られたことを覚えて、前夜式ではフォーレのレクイエムより「Pie Jesu Domine」、バッハ「G線上のアリア」、告別式でWalondの「Voluntary」、ヘンデル「ラルゴ」を前奏と献花に演奏し慰めました。

ヘンデル「ラルゴ」は歌劇「クセルクス」の中で歌われるアリアで愛の歌といわれています。題名は和訳「安らぎの木陰」で、詞は次のとおりです。

 木陰よ 緑の木陰よ 輝く陽に きらめく木の葉よ 風よ雨よ

この平安乱すな 楡の樹の 平安を この木陰で憩う 慰め 喜び 安らぎよ

前夜式での聖書「詩篇901〜12」

主よ、あなたは代々にわたしたちの宿るところ。山々が生まれる前から大地が、人の世が、生み出される前から世々とこしえに、あなたは神。あなたは人を塵に返し「人の子よ帰れ」と仰せになります。

千年といえども御目には昨日が今日へと移る夜の一時にすぎません。あなたは眠りの中に人を漂わせ 朝が来れば花を咲かせ、やがて移ろい夕べにはしおれ、枯れて行きます。

あなたの怒りにわたしたちは絶え入りあなたの憤りに恐れます。あなたはわたしたちの罪を御前に隠れた罪を御顔の光の中に置かれます。わたしたちの生涯は御怒りに消え去り人生はため息のように消えうせます。

人生の年月は七十年程のものです。健やかな人が八十年を数えても得るところは労苦と災いにすぎません。瞬く間に時は過ぎ、わたしたちは飛び去ります。

御怒りの力を誰が知りえましょうか。あなたを畏れ敬うにつれてあなたの憤りをも知ることでしょう。

生涯の日を正しく数えるように教えてください。知恵ある心を得ることができますように。

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