神の独り子

山本三和人

 『主はわたしに告げられた『お前はわたしの子、今日、わたしはお前を生んだ』」(詩篇2:7)これは神がキリストに語られた言葉です。この言葉が示すように、キリストと神の間の関係は創造主と被造物の関係ではなく、親子の関係です。キリストは被造物ではなく神の独り子です。そして、イエス・キリストが神の独り子として自覚をもっておられたことは疑う余地がありません。「わたしたちに父を見せてください」と言った弟子に、「わたしを見たものは父を見たものである」と答えられたのをみても、このことはよくわかります。また、ご自分が神の独り子であるという自覚をもっておられたからこそ「わたしは道でありまことの命である」とか「わたしによらなければ誰も父のもとに行くことはできない」などとおっしゃたのです。イエス・キリストは常にこのような自覚のもとに、思い、語り、行動しておられました。人間と共存し、この共存の土台の上に全人類の平和的共存を打ち立てるために、神が人となり、人の世界に来られたというのは、パウロやその他の使徒たちの作り話ではなく、イエスご自身が弟子を集め使徒に任じて、世界の果てまで遣わされたことは、疑う余地はありません。パウロはこのキリストにある神の真実についての信仰による認識に基づいて、国境を越え、海を渡ってキリストの復活を宣べ伝えたのでした。

TOPへ