中国演奏旅行

中国で紹介されたパンフレット

(「LOGOS No.20」1991.3 )

中野マリ

  10月30日から3週間、中国・北京、成都、瀋陽への演奏旅行に行ってきました。テレビのニュースに出てくる自転車ラッシュの北京の大通りや、想ったよりずっと広い天安門広場、食料品や衣類の品物が溢れている繁華街を見てきました。日本人よりもはるかに大きな声で早口で喋る中国の人々の生活は、貧しいことも事実に違いありませんが、それ以上に何か東京にはない大きな活気がありました。

 演奏会は5回、毎回満席のお客様に緊張しましたが、一生懸命弾きました。本当に多勢の人達が “目を輝かせて”聴いて下さったことは、私にとってとても貴重な、感動的なことでした。

 演奏会のあい間に5ヶ所の音楽学院(大学)を参観して、ピアノを勉強している学生さん達の演奏(ベートーヴェンやリスト)を聴くことができました。とりあえず今は技術や解釈ではなくて、でも非常に熱心な、たくましい、真摯な気持ちの伝わる演奏を聴きました。

 きっとこれから先、中国から優秀な演奏家がたくさん生まれてくるだろうと思います。おそらく“日本人が西洋の”音楽を学ぶ時にいつもある、いろいろな課題やとまどいを、私たちよりもっと力強く克服できるのかもしれない、とそんな気がしました。

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